今回は⾜助地区にあるマンリン書店に併設された「蔵の中ギャラリー」で1⽉6⽇(⽊)〜2⽉9⽇(⽔)に開催された「藤本由美⼦さんの韓紙⼯芸と蔵の中ギャラリーコレクション」に伺いました。
実は韓国に親しみがあり以前現地にホームステイしたことがあるライター。
豊⽥市内で韓国の美術に触れられるという貴重な経験にワクワクしながら向かいました。
ギャラリースペースに⼊ると、⾜助の古⺠家の雰囲気を残しつつ、なんともオリエンタルな空間がありました。
藤本さんの今回の展⽰では昨年度の豊⽥市⺠美術展で豊田市議会議⻑賞を授賞した作品も展⽰されていました。
その作品は脱⾊技法といって、もともとは黒い紙を漂⽩剤につけた布で拭いて脱⾊し、このようなアンティークな⾵合いに仕上げているそうです。
藤本さん⽈く、韓紙⼯芸⾃体まだ⽇本で知名度がなく、⽇本の専⾨家の⽅にも技法はあまり浸透していないとのことでしたので、今回は技法のことについても詳しくお伺いしました。
-⽊製の家具に紙を貼り付けて仕上げているように⾒えますが、この家具全体が紙でできているのですか?
厚紙でつくった家具の原型に⼿漉きの韓紙(かんし)を貼り付けているので、全て紙でできています。
紙でできていると⾔っても⼤⼈が座ったりしても壊れない強度があります。
でんぷんのりを使って接着しているので意外と重いですよ。
-作品に貼られている韓紙には様々なバリエーションがあるようですが、紙の模様の違いはそれぞれ技法の違いということでしょうか?
そうですね。
⼀部は韓国の無形⽂化財の紙漉の作家さんがつくられた紙を使⽤しています。
紙の⼀つひとつが作家さんの作品であり、⼀点ものです。
グラデーションも漉くたびに模様が違うので、同じ紙は⼆度できないです。
新作で額に⼊れた平⾯作品もあります。
花⽂字と⾔って韓国の伝統的な表現の⼀つです。
それと、「ポシャギ」という韓国のパッチワークのような⼯芸をアレンジして、布ではなく全て韓紙で制作しました。
-本当に絞り染めの布のような質感ですね。和紙と韓紙の違いとは、どのようなところですか?
ほとんど⼀緒です。
特徴をあげるとしたら、韓紙の⽅が質感が荒く、柔らかいので脱⾊する際に適しています。
-現地では韓紙⼯芸の産地や盛んな地域はあるのでしょうか?
⽇本の和紙どころが各地にあるように、韓国にもいろいろなところに産地があります。
これは私が制作した「パンダチ」という家具なのですが、こちらも先ほどのヤクチャンと同じ作家さんの韓紙を使⽤しています。
そこに私が切り絵でモチーフを⼊れました。
⽇本の部屋にも合うようなデザインにしたかったので、現地の韓紙⼯芸の作家さんがつくるものとは⼀味違うオリジナルな作品になっています。
-韓国の⼯芸は極彩⾊のイメージがあったのですが、今回の作品はオリエンタルでありながらも、⽇本家屋に調和する雰囲気がありますね。もともと美術関係の仕事をされていたのですか?
もともとは⾃動⾞関係の仕事をしていました。
仕事で韓国の担当になり、韓国語を勉強したことがきっかけで韓国の⽂化体験をしてみようといろいろな教室に習いにいきました。
⽇本に城下町があるのと一緒で、韓国にも昔は故宮のまわりに作家さんが集まって、⼯芸や宮廷美術などの制作が盛んに⾏われていました。
現在でもそのような場所がギャラリーとして残っていて、プライベートで現地のギャラリーをまわり、韓国の⼿仕事をそれぞれ習った中で、韓紙⼯芸が⼀番⾃分にあっていると思いました。
インスタグラムなどでいろいろな先⽣の作品を拝⾒し、習いにいくうちに、今習っている先⽣にたどり着いたのです。
⻑期の連休には泊まり込みで先⽣のギャラリーに⾏き、制作をさせていただいたりしていました。
-仕事をきっかけに新しい世界が開けたのですね!
今回インタビューをさせていただき、「韓国の美術に触れたい!」という気持ちがより強くなりました!
韓国では観光産業に⼒を⼊れており、韓国で伝統⼯芸などを体験できる場所がたくさん紹介されているそうです。
今はまだ海外に⾏くことが難しい情勢ですが、今後気軽に⾏けるようになったら、ぜひ現地で韓国の⼿仕事を体験してみたいと思います!
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豊田のお気に⼊りの場所
豊⽥市のお気に⼊りの場所は沢⼭あります。
⽮作川沿いのたくさんの滝を⾒ながらドライブするのも好きです。
取材:森かん奈(TAP magazine編集部)
博物館や古美術商など様々な視点からアートを見てきました。博物館とおでんは似ているような気がします。いろんな人やモノが一緒に存在している空間って面白い、その面白さを伝えるにはどうしたら良いか。日々ゆるゆると考えています。おでんの出汁の様な存在になりたいです。