7月上旬、豊田市民芸館で開催された 『雑誌「工藝」の美』の取材へ行ってきました!
訪れた日は39度の猛暑でしたが、民芸館のある場所は木陰がとても涼しく、暑さで煮えたぎった気持ちを癒してくれます。
豊田市民芸館にて行われた『雑誌「工藝」の美』。
展示されている雑誌は、全て豊田市民芸館の所蔵品です。
豊田市民芸館館長、都筑正敏さんに展示の解説をしていただきながら作品を拝見しました。
大正時代、民藝運動の主唱者である柳宗悦(やなぎ むねよし)は、機械化が進む中で手作りのものを残していきたいと、雑誌「工藝」を制作。
雑誌という方法で民藝を広めました。
制作した雑誌は、1931年から1951年の20年間で120号にも及びます。
この雑誌はなんと一冊一冊が手作り。
制作数は当初500部だったのが、多いときには2,000部もの雑誌を月に一度手作りで発行していたことに驚きました。
制作者の意地を感じます…寝る時間はあったのでしょうか…
展示会場には、雑誌「工藝」の他にも、制作に携わった芹沢銈介(せりざわ けいすけ)などの民藝作家の作品も展示されており、その時代を伺い知ることができます。
今、日常的に売られている雑誌とは異なり、型染めがされた布が使用されています。
手作りだからこそ、同じ号でも一冊ごとに色合いやタッチが様々だそう。
-120号ある中で都筑さんが特にお気に入りの号はありますか?
都筑:100号の沖縄を特集した号ですね。表紙や内容、どこに視点を置くかによって選ぶ基準は変わるんですが、内容も含めこの号が気に入っています。
100号は、柳宗悦が戦前の沖縄で様々な民芸品を買い集め、特集した号です。
今回の展覧会のチラシでは、中央に飾られています。
雑誌「工藝」の中でも、ページ数がとても多くボリュームのある号でした。
ページ数が多い号でも当時の販売値段はなんと全て同じ。どのような内容なのか想像が膨らみます…!
-皿や織物など、数ある民芸品の中で今回大々的に雑誌「工藝」を取り上げようと思ったのはどのような意図があるのでしょうか?
都筑:この雑誌には、民藝の概念が全て詰まっていると思っています。
これまでの展示では、補助的なも役割として数冊取り上げられることはありました。
ですが、この数が一度に展示されることってほとんどないんです。
なので、全号を展示するとどのようになるのかとても興味がありました。
全120冊もの雑誌「工藝」が展示されている光景は、圧巻でした。
どの号も表紙の装丁がデザインセンスに富んでおり、1年ごとに担当が変わるため号数が進むにつれ、表紙の印象がガラッと変わります。
担当した各作家の個性が垣間見え、その違いを見比べることができるのも『雑誌「工藝」の美』の見どころでした。
会期:2022年6月7日(火)-8月28日(日)
場所:豊田市民芸館(豊田市平戸橋町波岩86-100)
東村(TAP magazine 編集部)
とよたのまちを絵に描き起こしたり、まちの変化を探しながら散歩したり。
デザインを学びながら好きなことを自由にやってます。
微力ながら同年代にアートの魅力を伝えることができないか模索中。
⇨@higa_tt