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COLUMN | リレーコラム「私のアートの見方」 第3回・「むずかしい」は「おもしろい」のはじまり
森井早紀(TAP magazine 編集部)

美術館で現代アートの作品を前に「なんだこれは…」「私にはむずかしい」と頭を抱え込んでしまう人をよく見かけます。「自由に観ていいんだよ」という言葉で更に混乱し、中には拒絶してしまう人もいます。私もその中の一人でした。そんな私が今では「好き」を通り越し、一人の作家として活動をしています。
一体何がきっかけだったのか。私自身の経験を振り返ると共に「むずかしい」と思っている人が少しでも「観てみよう」と思えるきっかけになればと思います。
 

筆者作《HELL》(2017年)

まずは作品をじっくり観てみよう!
展示室へ入る第一歩目が肝心です。始めに目に入る印象がとても大切だからです。踏み入れたら足を止め、展示室全体を見渡します。
それから作品を1点ずつじっくり鑑賞します。近くで観たり、少し離れて空間の一部として鑑賞してみたり、「これは何の素材で作っているのかな」と観察します。
始めは「よくわからないけど何かいい」と感覚的な感想で良いと思います。観ることで疑問が湧いてきたり、心のどこか引っかかる作品が1つでも見つかれば万々歳です。
 
「なんだろう?」を持ち帰ろう。
私が初めて衝撃を受けたのは、展示室の床に杉の木が4本置いてあるだけの作品でした。
「なぜこれが作品として成立するのか理解できない…」
そして数日間その作品のことが頭から離れず、少しでも理解したいという気持ちから作家の本を手に取りました。
「……そういうことだったのか!」
本を読んだ後、鳥肌が立つほど感動したのを今でも覚えています。この経験が「むずかしい」から「おもしろい」に変わり、「もっと色んな作品を観たい!」と思う第一歩となりました。
 
もっと深く楽しもう!
現代アートの作家さんは現在も活躍している方が多いのでトークイベントを開催していることがあります。それを聞くことで、作家の人柄や作品の原点を知ることができます。
また、ガイドボランティアさんによる作品鑑賞会を定期的に開催している美術館もあります。私が参加した鑑賞会は、解説ではなく1点の作品についてじっくり語り合い、作品の意味を鑑賞者同士で作り上げていくという内容でした。自分とは異なる意見を聞くことで「そういう見方もあったのか」と新たな発見があり、作品もこれまでと違う視点で楽しむ事ができました。専門的な知識がなくてもOKなので、あまり美術館に来た事がない方こそ参加してみるとおもしろいかもしれません。
 
とりあえず…つくってみよう!
え?と思う方もいるかもしれませんが、実際につくってみることでより一層作品を身近に感じることができ、また自分がつくりだすことで、今度はそれを観る誰かと繋がることができます。絵画、映像、写真、彫刻、音楽、身体表現、インスタレーション…表現方法は無限にあります。
まずは気軽に行けるワークショップや、アートイベントに参加してみてはいかがでしょうか。
筆者主催のグループ展「HELL THE TRIP」(2020年2月)の展示風景

あなただけの「アートの見方」
さて、色々と書きましたが、アートの楽しみ方は人それぞれ。作品を自由に観ることも大事ですが、本を読んだりトークを聞いたりして作家の思想に触れることで、より深く楽しむことができます。今はまだ理解できない作品も、数年後に「そうだったのか!」とわかることもあります。
 
大事なのは『自分から作品に一歩あゆみ寄る』ことです。
あなただけの特別な作品に会いに行きましょう。

森井早紀(TAP magazine 編集部)

もりい さき
刈谷市在住。
アンダーグランドな音楽と美術と映画をこよなく愛すちょっと変わった人。橋の下世界音楽祭に衝撃を受け、豊田の街に魅力を感じ始める。自身も作家活動を行なっており、2020年に豊田市美術館ギャラリーで自ら企画したグループ展『HELL THE TRIP』を開催。豊田の魅力を発信しながら、何やらおもしろいことを企んでいます。

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