REPORT/COLUMN
「豊田の歴史と文化はここから始まった⁉」
渡辺半蔵家展 徳川を支えた忠義の槍

「渡邉半蔵家」展が面白い、というSNSの投稿を目にしたので、豊田市郷土資料館の特別展を観に行ってきました。転職後、豊田に住んでいますが、今まで「渡邉半蔵家」という名前を一度も聞いたことはありません。でも、実は今の生活と深く繋がっていた、と驚いた特別展でした。
 

渡邉半蔵家は、長篠など多くの合戦で武功を挙げ徳川十六将の1人に数えられるようになった初代守綱から始まります。その後、尾張徳川家に仕えることになり、幕府と尾張藩から1万4千石を与えられ、豊田市寺部町に陣屋を置きました。尾張藩でもトップ5に入る「万石以上年寄」と呼ばれる重臣となり、将軍への拝謁も許されていたとか。豊田は、自動車産業の盛んな新しい街だと思っていたので、歴史もあったと恥ずかしながら初めて知りました。
鞍ケ池の名前も、2代目重綱が溜池の検分に行った時に、鞍を投げ込んだことから名前がついたと知って驚きました。豊田の隠れた歴史を知った気分です。
 

その渡邉家の屋敷は、名古屋に上屋敷(中区三の丸)、中屋敷(中区矢場公園)、下屋敷(熱田区新尾頭、東区出来町)、江戸や大坂に設けられ、豊田の寺部町には行財政を担う陣屋が設けられたそうです。もうそこに建物はありませんが、移築されて現代まで残っている建物があることにも驚きました。上屋敷の書院は一宮市の長誓寺本堂に、そして下屋敷の茶室「南山寿荘捻駕籠席」が昭和美術館(名古屋市昭和区)に移築されています。その他は、豊田市の寺部陣屋の遺構として伝えられる豊田市美術館の横の七州城址公園にある茶室「又日亭」、誓願寺(安城市)の山門となっている高麗門など。10代規綱が茶道に造詣が深く裏千家とも関係が深かったと聞くと、豊田は実は芸術文化を育む土地でもあったと思いました。
 

又日亭

又日亭のあらまし

豊田市美術館の横の茶室「又日亭」といえば、アートイベント会場として行った場所ではありませんか!これまで又日亭前の立て看板の解説を読んでも理解できず、残されているからには何か由緒あるお茶室だろうくらいに思っていました。お茶室を備えた美術館も増え古民家カフェが流行っていますが、地元に根差した歴史や文化の象徴である築200年以上の茶室があり、それを自由に使えるのはなんと贅沢なことだろうと思います。そして、茶室としてではなく、現代アートの展示会場にもなるとは…。時を越え、一見繋がりのないものが繋がる面白さを感じました。
 
そして、頭の中で妄想が膨らみます。
渡邉半蔵家に関する現存建築を回ったら、より当時の雰囲気を味わえる?
現存建築を集めたVR博物館も面白そう!古地図をもとにした、かつての屋敷跡や陣屋跡巡りもしてみたい!
現存建築を現在管理されているお寺や美術館同士で提携したら、面白い企画ができる?
客層が異なる郷土資料館と美術館が繋がると何かが起こる?
渡邉半蔵家展が常設展となるなど、もっと大勢の方々に見てもらえれば、自動車だけでない豊田を感じてもらえる?
 
などと、1人で興奮した特別展でした。
 
 
渡辺半蔵家展 徳川を支えた忠義の槍

渡辺半蔵家展 徳川を支えた忠義の槍

日時:2021年1月30日(土)-4月11日(日)9:00-17:00
(月曜日休館)
場所:豊田市郷土資料館 第一・第二展示室
観覧料:一般300円、高校生・大学生200円
 
主催:豊田市

 
取材:都築祥子(つづきしょうこ)
TAP magazine 編集部。
元々、時代やジャンルを問わず様々なアートが好きで美術館によく行っていましたが、あいちトリエンナーレのガイドボランティアがきっかけで現代アートにはまり、横繋がりの趣味友が大勢できました。その後、名古屋市美術館のガイドボランティアやスリバチ学会というブラタモリチックな街歩き団体にも顔を出したことで、全国に様々な繋がりができ続けています。(実は、渡邉半蔵家展も、その筋からの情報です~!)

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