REPORT/COLUMN
COLUMN | 豊田で能楽堂に行ってみた
都築祥子

※このコラムは、「私と豊田のアートスポット」をテーマに募集したコラムです。
 
 
豊田には、豊田市駅前に立派な能楽堂があるのをご存知ですか?
私は、長年能の謡を習っている友人に半強制的に連れられ、名古屋能楽堂で能楽鑑賞デビューしました。
その際、豊田市能楽堂のチラシを手に入れ、何度か観に行くようになりました。
はじめは眠くなりましたが、終演後にどの演者や演奏が良かったとか話すと、自分では気づかない部分に気づけ、より面白いですよ。
そして、別の能楽堂に行ってみると、色々違いがあることに気づきました。
 
豊田市能楽堂は、名古屋能楽堂より小さいものの、設備や装飾が豪華で落ち着いた空間です。
特別な空気感が漂っていて、入口に来ただけで気分が上がり、さらに中に入ると舞台の格調高さに圧倒されます。
どうも名古屋能楽堂とは出演者も流派も違うようで、珍しい演目が演じられることもあります。
 
解説方法もそれぞれの方式があるようです。
名古屋能楽堂ではイヤホンガイドでの解説がありますが、豊田市能楽堂は公演前に解説があるか解説用紙が配布されます。
どちらが良いかは好みの問題ですが、アナログな解説用紙方式は、イヤホンから音が漏れる心配もなく、折角の笛、鼓、太鼓などの生演奏や謡が解説とかぶることもなく、しっかり演目に浸れるため、私はこちらを気に入っています。
無駄が削ぎ落とされ、リズムやスピードも異なる謡や演奏、舞を見聞きすると、終わる頃には、すっかりその世界観に浸れます。
演目にもよりますが、瞑想したような気がするのは私だけでしょうか。
楽屋見学も時々催されているので、時間が合えばこちらも見学すると、舞台裏も楽しめます。
 

新春能での鏡割りの様子(2020年1月)

お正月の新春能では終演後に鏡割りがあり、樽酒が振舞われ、新年のおめでたい雰囲気も味わえます。
残念ながら、私は車でしか行ったことがないため、いただいたことがないので、ノンアルコールの甘酒もあるといいなぁなんて勝手に思っています。
ここには、出演者も参加されるので、能面を外した出演者のお顔も見ることができます。
 
特別な空気感を漂わせているのは、建物だけでなく、そこに集まるお客さんの持つ空気も一因かなと思っています。
私は何度も慌てて普段着で行っていますが、なんとなく一度着替えて気分を上げて観に行きたいと常々思っています。
女性で着物を着ている人は割といますが、着物の男性客や上手く着物と洋服を混ぜた個性派ファッションの方、そもそも着るものに限らず堂々とした立ち居振る舞いをされる方は年齢問わずとても格好良くて。
皆さん、どこから来られたのかな、普段は何をいる人なのかな、他にどんな趣味を持っているのかなと思い、ついつい観察してしまいます。
実は、ライフスタイルなど憧れる女性に何度か会えたことも、私が能楽堂に行きたいなぁと思う理由の1つです。
いつかは、その女性たちのようになれるかな、なんて(笑)。
 
お客さんで一番驚いたのが、小学生くらいの男の子です。
能公演の合間に狂言が行われますが、ある時、私の前に座ったその男の子が、狂言を観ながらケラケラ笑い出したんです。
確かに、お笑いのように笑える話が多いのですが、今の言葉とは違うため、大人でも慣れてない私の理解は遅れ気味。
もしかして狂言のお稽古をしているのかなとも思いましたが、すごい子がいるんだな、と思いました。
 
最近はコロナの影響もあって豊田市能楽堂に行けていませんが、思い出しながらこの文章を書いているだけで行きたくなってきました。
来年の新春能では、まだ樽酒のふるまいはできないかもしれませんが、日常を忘れに近い内にまた行きたいと思っています。

都築祥子

つづきしょうこ
元々、時代やジャンルを問わず様々なアートが好きで美術館によく行っていましたが、あいちトリエンナーレのガイドボランティアがきっかけで現代アートにはまり、横繋がりの趣味友が大勢できました。
その後、名古屋市美術館のガイドボランティアやスリバチ学会というブラタモリチックな街歩き団体にも顔を出したことで、全国に様々な繋がりができ続けています。

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