REPORT/COLUMN
INTERVIEW | きっかけは合唱!?あつまって、はたらいて、みんなで一緒に生きていく。 「つくラッセル」代表 戸田友介さん・戸田育代さん
「つくラッセル」代表 戸田友介さん・戸田育代さん

以前インタビューした民謡の西守芳泉さんから「豊田の旭地区に『つくラッセル』という場所があって、そこにおもしろい人がいますよ!」とご紹介いただき、今回は豊田市旭地区にある「つくラッセル」代表の戸田友介さんと戸田育代さんご夫妻にインタビューしました。
 
友介さんは北名古屋市出身。
2003年に名古屋大学在学中に株式会社M-easyを設立。
その後、プロジェクトの一環で豊田市旭地区に移住しました。
2018年に廃校になった築羽小学校を活用した「つくラッセル」を開設し、翌年には地域密着型デイサービス「あんじゃない」を開設しました。
 
育代さんは大分県出身。
友介さんと結婚後、豊田に移住しました。
山里暮らしの女性に焦点を当てた冊子「里co(さとこ)」で市民ライターをしたことをきっかけに、現在は4人のお子さまを育てながら山里暮らしを伝えるメディア『縁側』や豊田・みよしの地域新聞『矢作新報』でライター活動をしています。
 
「つくラッセル」に到着すると、まず迎えてくれたのは遊んでいた子どもたち。
あたりを見渡すと薪がたくさん積まれており、運動場には小型電気自動車が何台もあります。
一体この場所では何が行われているのでしょうか?
移住の話をきっかけに「つくラッセル」についてお話をうかがいました。
 


 
-よろしくお願いします。ではさっそく、移住したきっかけを教えてください。
友介:2009年から「日本再発進!若者よ田舎をめざそうプロジェクト」という旭地区に関わるプロジェクトがありまして、そのプロジェクトを運営するために2011年に移住を決めました。結婚してからすぐですね。
その頃は、若者が「田舎暮らし」と言ってもまだピンとこない時代だったんですよ。
 

友介さんと育代さんが学生時代から親交がある名古屋大学大学院環境学研究科教授・高野雅夫さんの著書『自然(じねん)の哲学』
友介さんが携わったプロジェクトについて詳しい話が載っている

 
-移住してから「つくラッセル」の構想ができるまでには、何かきっかけがあったのでしょうか?
育代:『合唱』を始めたことが重要でしたね。
友介:そう。移住してきて「合唱やりたいね」てなって。
ソプラノ歌手の方が移住してきたと聞いたので、指導をお願いしたら引き受けてくれたんです。
育代:その頃は福蔵寺というお寺で合唱の練習をやっていて、最初はそれぞれご飯を持ち寄って、みんなで食べることから始めました。
友介:僕も合唱に行くようになってから料理を作るようになりましたね。
当時は30人前くらい作っていたかな…。
みんなで一緒にご飯食べながら、地域のイベントへ出かけて行って、みんなで色々な事を共有したり困ったことがあったら助け合ったり、そういう営みがなかなか良くて。
 

 
育代:この子達がお腹の中にいる時から合唱してましたね。
生まれたときも子ども達を寝転ばせながら歌っていたので、みんな兄妹のようになっちゃって。
娘は友達のお母さんのことを「ママ」と呼んで、私のことは「お母ちゃん」て呼ぶんです。笑
合唱がきっかけで築けた関係だと思います。
 
-合唱を始めたことが、「つくラッセル」の原点になったのですね。
友介:2015年に、地域の新聞店を引き継ぐことになり、その時に「働く」ことで人と繋がれると感じました。
楽しみながら集うことにくわえて、はたらきながら「ひと」と「ひと」がつながりあう。
そこで「つくラッセル」のイメージが生まれました。もともと福蔵寺で2、3年行っていた営みに場所がくっついたという感じです。
つくラッセルは「拠点」としての施設であり、みんなで生きていくための場所です。
 
-では、実際に施設内ではどのようなことが行われているのでしょうか?
友介:例えば、ここから名古屋に行くと移動だけで2時間かかります。
移動しなくても働けるようにリモートワークができる場所があります。
 

 
また訪問看護ステーションがあったり、理科室だった教室をアイスクリーム屋さんの工房にしていたり、認知症予防の研究をしている先生の研究所もあるんですよ。
 
突如現れたビリヤード場!地域の方からいただいたものだそう

 
あとドローンスクールを開講したり、年を重ねながら自分で移動できるように、里モビ(超小型電気自動車)を活用した取り組みをしたり、豊田のふるさと納税の返礼品でもある薪もここで取り扱ってるんですよ。
西守芳泉先生の民謡パラダイス(練習会)もここでやっています。
あ、合唱の練習はこの部屋で…
 
-この1つの施設の中で、本当にたくさんのことが行われているのですね!
育代:ほとんどが人の繋がりでできた「場」です。 
戸田新聞店もこの施設内でやっています。
最先端のものというより、この地域にあったものを積極的に取り入れています。
部屋によって雰囲気が全然違うのも面白いですよ。
友介:僕は毎朝2時に起きて新聞配達店の仕事をしていて、日中は「つくラッセル」とデイサービス「あんじゃない」を行き来してます。
「あんじゃない」は1日の利用定員が10名。
日常を感じられるおやつを一緒につくったり、散歩を楽しんだりしています。子ども達もよく連れて行くし自由に暮らすように利用してもらっています。
 

 
育代:友介さんは子どもが大好き。
前に「仕事だけやるよりも、子どものことをやりながら仕事をやる方が学びが多い」と話していていました。
友介:今はこれが日常だからね。
 
 
インタビュー中、写真でもわかる通り戸田さんの近くには子供達が必ずいました。
「子供のリズムに合わせて動いている」という育代さん。
子供たちはここで五感でフルに使って、コミュニティや働くことを自然と学んでいく。
文化もまた、こういった場所で生まれていくものなのかもしれません。
未来を作る人材創造拠点の場「つくラッセル」。そこは人の繋がりで生まれたあたたかい場所でした。
とこれからこの場所でどんな未来が広がっていくのでしょうか。
今後も楽しみにしています!

「つくラッセル」代表 戸田友介さん・戸田育代さん

豊田のお気に入りの場所
「近所の森の中の公園」
子どもを連れて歩く散歩道が好きです。
子どもがお腹にいるときから歩いている場所ですが、旭の四季も楽しめてとても豊かで好きな場所です。

 
取材:森井早紀(TAP magazine 編集部)
アンダーグランドな音楽と美術と映画をこよなく愛すちょっと変わった人。
橋の下世界音楽祭に衝撃を受け、豊田の街に魅力を感じ始める。
自身も作家活動を行なっており、2020年に豊田市美術館ギャラリーで自ら企画したグループ展『HELL THE TRIP』を開催。
豊田の魅力を発信しながら、何やらおもしろいことを企んでいます。

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