「豊田市制70周年記念郷土作家美術品購入事業」と書いてある展覧会のチラシをみて、専門家や関係者ばかりで私みたいな一般の人は入りにくそう…と尻込みしましたが、行ってきました「芸術の隣人たち-豊田気鋭のアーティスト展-」。
場所は市内文化団体の展覧会場やあいちトリエンナーレ2019豊田会場でも会場になった豊田市民ギャラリーです。
結論からいうと全然敷居は高くなかったです。
絵画や彫刻、工芸、映像など、様々なジャンルの作品が展示されており、ちょうど同じ時期に猿投棒の手ふれあい広場で開催されていた企画展「木のあらわれ」で観たアーティストの作品があるのを見つけて、「この人、前にも観た!」とまるで自分の知り合いが出展しているようにうれしくなりました。
この展覧会は、豊田にゆかりのある現在活躍している作家を、コロナ禍の中で支援をするために、豊田市が作品を新しく購入したので紹介するものでした。
美術館が作品を購入するのは知っていましたが、市で購入をしているなんて知りませんでした。
そのお披露目として展覧会を開催したそうです。そして観覧料は無料。
あいちトリエンナーレ2019の豊田まちなか会場も、とよたまちなか芸術祭も無料で観られたなあ…。
アートを観る機会はお金を出して美術館で観る以外でも結構機会がありますね。
ちょうど私が行った日にはワークショップが開催されていました。
本来は予約制でしたが、空きがあれば受け付けてくれるとのことで、飛び入りで参加してきました。
参加したのは、この展覧会に作品も展示されている木彫作家・白水(しろうず)ロコさんのワークショップ「あなたが想うイノチノカタチ」です。
ギャラリーの一角で、木の枝が地面から天井まで伸びており、木のように立っています。その木には真っ赤なオブジェがいくつかつり下がっています。
しかも血しぶきのように床に赤い液体が…!と思ったらペンキの缶が近くに置いてありました。
びっくりした…。
その木の近くで魚屋さんのような長いエプロンをつけて作業をしていたのが、白水さんです。
ワークショップに参加したいと申し出ると、「あなたが想う命の形を具体的でも、抽象的でもいいので、この段ボールに描いて切り取ってください。」とのこと。
それを白水さんが赤いペンキの中に浸して段ボールを真っ赤にし、木に吊り下げてくれます。
命の形ってどんな形だろう?
他の参加者の方の様子をみると、魚や猫などの具体的な生き物だったり、手のひらに載るような小さなオブジェを作る人、段ボールを切り取らず、破いたり織ったりしてオブジェを作る人、など思い思いの形を作っていました。
普段考えない抽象的なことを考えるのは難しいですが、ギャラリーに展示されている作家さんたちの作品に囲まれていると、自分も作品で表現してみようという思いになりました。
私の中のアーティスト魂が目覚めてきたかもしれません…。
切り取ってできた命の形のオブジェをなぜ赤に染めるのかというと、血の色、命の色だからだそうです。
そうだ、命って生々しいものだな、とここにきて血だと思ってびっくりした自分を思い返しました。
単純にきれい、というものではなく生々しい血の赤い色だから、より命が浮彫にされる気がします。
自分やみんなの思い浮かべる命の形をみながら、アーティストたちが形にする喜びを少し味わえた気がしました。
日時:2022年2月11日(金)-27日(日)10:00-18:00
場所:豊田市民ギャラリー(豊田市西町5-5 VITSタウンB1)
植村優子(TAP magazine 編集部)
あいちトリエンナーレのボランティア参加をきっかけに、現代アートの沼にはまりました。
あいちだけでは飽き足らず、全国の芸術祭から、海外の芸術祭まで見に行くようになりました。
全国の芸術祭サポーターと交流する「全国芸術祭サポーターズミーティング」に参加し、アート仲間をますます増やしています。