豊田市美術館では、デザインをテーマとした展覧会が開催されています。
企画展のタイトルは、「交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー」。
友人に豊田市美術館でやっている展示みてくる、と言ったら、「あれね、ポ、ポ…なんだっけ」と、正式名称がなかなか出てこなかった…展覧会を観に行った後だと、展覧会を体現しているタイトルだなあと思うのですが、なかなか聞き慣れない単語ですよね。
ポリフォニーとは音楽用語で多声音楽のこと。
複数の声部が独立しながら相互に絡み合っていく様式の音楽です。
この展覧会は、1910年から30年代の彫刻や家具、食器洋服、建築などが、ポリフォニーのように相互に影響しながら様々なデザインが生み出されていたということを、西欧や日本の実際の作品たちを通して紹介しています。
ということで、さあ、いざ展覧会へ!
今回の企画展の写真撮影は、作品を一つだけで撮影することはできず、何点か一緒に展示している風景としては撮影してもよい、とのことでした。
個人で所蔵している作品などがあるためだそうです。
写真を撮るときは気を付けましょう!
会場に入ると、最初にお出迎えしてくれるのは「椅子」です。
座面の市松模様に目が行きます。
座るには奥行きがありすぎて、足の長い人しか座れないなあ…。
その奥にはファッションの展示もありました。
どの図柄もかわいい!子ども用や女性用のワンピースがありましたが、現代に着ている人がいても不思議ではないくらい違和感がありません。
実際のインテリアやファッションのほかに、テキスタイルデザインなども紹介されています。
この時代に女性の作家さんもいたことに驚きです。
同じデザインで色違いが何種類もあるんです。
さすが、わがままな女子の希望を心得ています。
次の展示室は、日本の作品です。
真っ赤な色に塗られた家具一式など、本当に日本で作って使われていたのか、と疑うほどモダンです。
浴衣もよく見ると、こんな柄みたことない!
さて、またファッションのコーナーです。
やっと聞きなれた名前が出てきました。
シャネル、ランヴァンと現代でもトップクラスのファッションブランドです。
今も昔も買うには高くても、ドレスをみるのは楽しいひと時です。
もちろん、日常生活にかかせない、食器類も数多く展示があります。
こちらもファッションと同じく、今でもおしゃれだなあと感じさせられるほど色あせないデザインです。
この企画展の展示リストを眺めると、豊田市美術館所蔵のものが多いことに気づきます。
豊田市美術館は現代アートの作品を多く所蔵しているイメージがありましたが、近代デザインの特徴ある作品も持っているのですね。
しかも椅子が多い気がする…。
日常生活で私たちが触れているモチーフだからか、展示をみる、というより、ウィンドウショッピングをしている気分に近かったです。
デザインの知識がなくても、自分の好みを頼りに、観ることができます。
会場を一周した後に、「担当学芸員によるギャラリー・トーク」に参加してきました。
現在見慣れている日常生活にあふれているデザインは、この時代が先駆けなのですね。
とても熱心に話してくださり、さっき素通りして見落としていた作品がいっぱいあったことに気づきました。
(詳しい解説はぜひギャラリー・トークにご参加ください!※)
ただただ、かわいい!と思って見ていたモノたちの歴史や背景を、今まで気にしたことがなかったのはもったいなかった!今度デザインの歴史の本を買おうと思います。
誰かおすすめの本を紹介してください!
※担当学芸員によるギャラリー・トーク
7月24日(日)午後3時45分~(×島根県立石見美術館学芸員 廣田理紗氏)
8月14日(日)午後3時45~
最新の情報は豊田市美術館のウェブサイトをご確認ください。
7月22日(金)より図録の販売が開始しています。まさにデザインの教科書です。ぜひお手に取ってみてください。
会期:令和4年6月7日(火)-9月4日(日)
場所:豊田市美術館
時間:10:00-17:30(入場17:00まで)※月曜休館
(7月18日、8月15日は開館)
入場料:一般1,400円、高大生900円、中学生以下、75歳以上、豊田市内在住・在学の高校生、障がい者は無料(要証明書)
植村優子(TAP magazine 編集部)
あいちトリエンナーレのボランティア参加をきっかけに、現代アートの沼にはまりました。
あいちだけでは飽き足らず、全国の芸術祭から、海外の芸術祭まで見に行くようになりました。
全国の芸術祭サポーターと交流する「全国芸術祭サポーターズミーティング」に参加し、アート仲間をますます増やしています。