REPORT/COLUMN
INTERVIEW|身近な『素材』で様々な質感を表現。作家・梶千春さんインタビュー
作家・梶千春

今回のインタビューは豊田市在住、作家の梶千春さんです。
石?それとも土?不思議な質感の梶さんの作品。作品の素材となっているのは、実は『紙』。
梶さんは紙の作品以外にも、アルミニウム板を使った立体作品も発表しています。
その作品は重厚感を感じながらも、どこか遊び心を感じさせるようなフォルムをしています。
一体どのように制作されているのでしょうか。梶さんにお話をお伺いしました。

ーよろしくお願いします。早速ですが、こちらの作品の素材は「紙」とのことですが、どのように作られていますか?

まず新聞紙やダンボールなど、身近にある紙を細かくちぎり、ミキサーでドロドロにします。
黒くしたいときは黒い画用紙をちぎって入れたり、墨のかけらを入れることもあります。
ドロドロにした紙に接着材を混ぜて、型にのせていきます。
その後、乾燥して作品の完成です。
紙を素材にしたきっかけは、自分の欲しい厚さの紙がなくて、それなら自分で紙を作ろうと思ったのがきっかけですね。

ーまるで石のような質感ですね!こちらも紙で制作されているのですか?
はい。茶色っぽく見える部分は鉄の錆びです。
紙を作るときに、鉄の粉を混ぜてから乾燥させると、このような表現が生まれます。
でも、夏は錆びる前に紙が乾いてしまうので、なかなか難しいですね…。
紙はいろいろなやり方があるので、日々実験しながら作っています。
基本的にはモノトーンの作品が多いのですが、カラフルな作品もあります。

こちらはドットの用紙をコラージュした立体作品です。
これを作り始めたのは、ちょうど東日本大震災の時で落ち込んでいるとき。
モノトーンで落ち着いた色合いの作品が多かったので、カラフルな作品を作ってみようかと。
とよたまちなか芸術祭2021プレ展示の時に緑陰ギャラリーで展示をしました。

ー梶さんは、紙以外にもアルミニウム板を用いた作品も制作されていますね。
薄いアルミニウム板を曲げ形を作り、真鍮の釘を打っています。
アルミは鉄と違い、加工しやすく作業スペースもそこまで必要としないところがいいですね。
思えば、昔からロボットとかネジとかシルバーっぽい質感が好きでしたね。

制作はスケッチをして、ある程度形を決めてから取り掛かります。
ちょっと傾いてるとか、シュッとしている形が好きですね。笑
もともと名古屋造形芸術短期大学で、染織科を専攻していたのですが、活動していくうちに扱う素材が変わっていきました。
最初はフェルトから始まり、アルミ、木、コンクリート、石膏…今も色々試しながら作っています。
独学で制作していますが、もし彫刻科を専攻していたら今のような作風になっていないかもしれないですね。

ー梶さんの立体作品からは具象でも抽象でもない印象を受けますが、どういったものからインスピレーションを受けますか?
普段生活してる中で、気になるカタチとか面白いカタチ、自然の現象にインスピレーションを受けます。
あとは今勤めている仕事も影響していると思います。
子ども達と触れ合うことが多く、粘土や紙や身近なものであそびを考える中で、素材に触ることの大切さを感じます。
以前、子ども達と木の皮を剥く遊びをしたことがあって、その皮を作品に用いたこともありますよ。


ー今後展示は予定されていますか?

7月8日(土)から30日(日)まで、ギャラリー なうふ現代(岐阜市)で作品展示をしています。
ギャラリーが今年で開廊25周年を迎えるので、何名かの作家さんたちと一緒に展示します。
25周年ということもあり、私もそれに合わせて過去の作品を出品する予定です。


ー今後の作品の構想などはありますか?

これまでの過去の作品を、もう一度再制作してみるのもおもしろいかなと思っています。

作家・梶千春

豊田市のお気に入りのスポット
「夕方の豊田市美術館」
美術館に行った後、「CafeT」でコーヒーを買い、美術館と市民文化会館の間にある枝下緑道のベンチで飲んで帰るのが好きです。

取材:森井早紀(TAP magazine 編集部)
アンダーグランドな音楽と美術と映画をこよなく愛すちょっと変わった人。
橋の下世界音楽祭に衝撃を受け、豊田の街に魅力を感じ始める。
自身も作家活動を行なっており、2020年に豊田市美術館ギャラリーで自ら企画したグループ展『HELL THE TRIP』を開催。
豊田の魅力を発信しながら、何やらおもしろいことを企んでいます。

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