REPORT/COLUMN
REPORT|初心者でも気軽に楽しめる! 豊田市能楽堂「能狂言が見たくなる講座」に参加してみた。
森井早紀(TAP magazine 編集部)

ある日、仕事帰りに寄った図書館で見かけた1枚のポスター。

『能と地獄』…?

 

ちょっと待ってください。
私「地獄」の世界が大好きなんです。(おかしな人だと思われそう)
地獄と言えば、閻魔(えんま)様がいたり、亡者がそれはそれは酷い拷問にあっていたりと阿鼻叫喚の世界が広がっているわけですが、地方や国によって若干ルールや設定が違っていたり、知れば知るほど発想豊かでおもしろい世界なんですよね。

8月はお盆ということもあり、各地で地獄関連のイベントが開催されており、地獄好きとしてはアンテナが張り巡らされている月です。
その甲斐もあってこのポスターに出会いまして…鼻息を荒くしながらすぐに申し込みしました。
ちなみに私の能狂言に関する知識と言えば、中学生の時に狂言師の講演を聞いたような聞いていないような
……まあ、ほぼ無いということですね!

 

そして当日。

夏休みということもあり、会場には子どもが多くいました。

講師は地獄研究家の田村正彦さん、構成・聞き手はフリープロデューサーの宮川和幸さん。

田村さんがスライドで地獄絵(十王図)や各地方の地獄スポットを見せながらトークを進めていきます。
「かぐや姫」「枕草子」「源義経」、誰もが知っている物語や人物の話を元に、仏教や地獄世界をわかりやすく解説。
田村さんの地獄の解説をしている時の楽しそうな表情と言ったら!

 

少々難しい話をした後には… 地獄ク〜〜イズ☆

「地獄は地下何キロメートルにあるでしょうか?
……正解は地下15,000キロメートルです!」
(地下と言いつつも、この距離は地球の裏側を突き抜けてしまっているそうです。笑
個人的にはこういった地獄の謎設定がとても好きなんです。)
このように途中でクイズを挟みながら、大人も子供も楽しめる内容になっていました。

会場内の様子

 

宮川さんは「善知鳥(うとう)」「鵜飼」「阿漕(あこぎ)」と地獄にまつわる能の演目を映像で解説。

「善知鳥」は、善知鳥という海鳥を捕まえて生計を立てていた猟師が、死後殺生の罪で地獄に堕ち、生前の行いを悔やむが、生きていくためには仕方なかったと嘆き哀しむ、とてもヒューマニズムなストーリー。
動きや角度によって変わる、苦しみなのか、悲しみなのか、後悔なのか、絶妙な表情の能面。
また、どこか品を感じる衣装が印象的でした。
今回は主要な部分を抜粋した映像だったので、全部見たくなりますね。
これが「能狂言が見たくなる講座」か…!

講座は休憩を挟み、2時間で終了しました。
最後の質疑応答では、大人の真剣な質問が次々に飛び交いました。

ちなみに11月11日(土)に同会場で地獄の曲舞(くせまい)を謡い舞う、能「歌占(うたうら)」(金剛流)が上演されるそうです。

なかなか能狂言を見る機会がない、見たいけど楽しめるか不安。
そんな方には是非参加してほしい講座です。私もまた参加してみたいと思います!

森井早紀(TAP magazine 編集部)

アンダーグランドな音楽と美術と映画をこよなく愛すちょっと変わった人。
橋の下世界音楽祭に衝撃を受け、豊田の街に魅力を感じ始める。
自身も作家活動を行なっており、2020年に豊田市美術館ギャラリーで自ら企画したグループ展『HELL THE TRIP』を開催。
豊田の魅力を発信しながら、何やらおもしろいことを企んでいます。

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