今回は、成田帆花さんから、アーティストの紫乃~murasakino~さんをご紹介いただきました。紫乃(しの)さんは、とよたまちなか芸術祭、デカスプロジェクトなど豊田市でも活動をされています。
エネルギー溢れる美しい色が目を引く、アクリル絵具を使った抽象画が魅力の紫乃さんの作品。作品の制作以外にも、ワークショップなど日々様々なことに挑戦し続ける活力はどうやって生み出されているのか、お話を伺いました。
-よろしくお願いします。インスタグラムで山の中の家に住んでいる投稿を拝見したのですが、手作りのお家なんですか?
そうです。19年ほど前に手伝ってもらいながら建てました。
今の家を建てる前は、住宅の工務店に勤めていたんです。その中で環境のことに興味を持つようになり、自分で家を作ってみたいなと思っていたときにご縁がありました。そして、岐阜県の恵那の土地を知り、「こんなところに住めたら良いな~」なんて思っていた次の年にはもう住みながら作っていました。(笑)
-紫乃さんの作品は自然の緑と溶け込むような美しい色彩が印象的です。豊田では過去に民芸の森で展覧会を開催していましたがきっかけは何だったのでしょうか?
過去に個展を開いたとき豊田に住む叔父が来てくれて、「豊田でも展示をしたらいいじゃないか」と言われました。その一言がきっかけで豊田市内の貸しギャラリーを探したのですが、良いな~と思うところが見つからなくて。
そんな中、ふと叔父が本多静雄さんの親戚の方と知り合いだったことを思い出したんですよ。そんな繋がりがきっかけで作品をみてもらう機会ができ、民芸の森で個展を開催する運びになりました。
屋外や建物内など敷地全体を使い、作品が自然に溶け込んだ美しい展示になったなと思っています。
-今までの人との関わりが今の紫乃さんを作っているのですね。
やってみない?と声をかけてもらえたときにそれを受け入れるか、断るかって一瞬の判断なのにそのときの受け答えでガラッと世界が変わるんです。声をかけてもらえたということは、少なくとも相手は私を信頼していたり、この人なら大丈夫だと思っているということですから。
上手くできるか不安でも、自信を持ってやるようにしています。
この間ファッションショーのモデルをやる機会があったのですが、最初は私なんて…と思っていました。ダンスも苦手だし、身体で表現するなんてできないって。でも、これは挑戦だと思ってやらせていただいたんです。
上手いとか下手とか、そんなものは取っ払って、楽しむしかない!という気持ちで挑んだら意外にできるじゃん!と(笑)
そんな姿を他の人が見て「私もやってみたいな」と思ってもらったり、私自身が何かをやるきっかけになれたらいいなと思っています。
-ワークショップでは参加されている方の笑顔が印象的です。何か意識されていることはありますか?
私たち人間は空間にすごく影響されるので、自分をさらけ出せる空間づくりを意識しています。
上手に描こうとしない。何かを描こうとしない。子どもみたいに、なにこれ楽しい!っていう感覚になると絶対いいものができるんです。
参加してくださる方がそういった状態になるにはどうしたらいいのか模索しながらやっています。
-作品を作る上で大切にしていること、今計画していることはありますか?
何かの意図を持たず無心になって手が自然に動くのに任せるように描いています。
私の作品は、一点一点が舞台の装置のようなものなんです。自分が心の中に感じているものを色に変換して描き、それらを使って作り上げた空間で皆さんが主役になる。“受け身から主体へ”とそんな意識の変化が起きたら良いなと思っています。
また、自分の作品を使って皆さんの中にある可能性に気が付いてもらう。
気持ちや視点に変化を及ぼし「あなたも わたしも アーティスト」だということを思い出してもらう。
そのきっかけを作るのが私のアートだと思っています。
来年5月4日~15日に岐阜県多治見市のガレリア織部さんでの個展を予定しています。
その時の直感やご縁を大切にしているので、あまり決めずに活動しています。
でも、前の自分より成長していたい。どんなことでも挑戦になることをやっていきたいですね。
【豊田のお気に入りの場所】
「豊田市民芸館・民芸の森」
緑が多くて落ち着く空間です。
取材:東村(TAP magazine 編集部)
とよたのまちを絵に描き起こしたり、まちの変化を探しながら散歩したり。
デザインを学びながら好きなことを自由にやってます。
微力ながら同年代にアートの魅力を伝えることができないか模索中。
⇨@higa_tt