REPORT/COLUMN
INTERVIEW | 和紙の不思議な魅力を伝える 作家:川澄綾子さん
作家・川澄綾子さん

今回のインタビューは、紫乃~murasakino~さんからのご紹介で、作家の川澄綾子さんです。川澄綾子さんは、和紙の作品を多く発表されています。
 
-和紙という素材を選んだきっかけはなんですか?
もともと専攻は漆芸専攻だったので、漆で器を塗ったり、オブジェを作ったりなどしていました。大学の授業で、和紙を何十枚も貼り重ねて、漆を塗って器などを作る一閑張り(いっかんばり)という技法を教わり、和紙という素材の魅力を感じました。
大学卒業後、たまたま小原和紙の工芸館でスタッフとして働くことになったときに、和紙の表現の幅広さを知って、和紙の作品を作るようになりました。和紙は、普通だと書道や障子紙のような均一でパリッとしたものが多いですが、材料を変えたり、染色したり、スポイトを使って濃淡を変えたり、絵のように仕上げる技法を知って、和紙を何かに使わなくても、和紙だけで作品ができるのかと思い、作り始めました。
 
-川澄さんの作品はどれも繊細な表現が素敵です。どんな風に作品を制作しているのでしょうか?
薄い紙の透かしや、グラデーションが和紙の魅力だと思っています。紙の透かしを表現しようと思うと、薄い紙が適しているのですが、それを漉くのはとても大変です。漉いているときは水で素材が濡れているので、出来上がるまでどれくらいの厚さかわからないため、勘でやるしかないです。セクションごとに区切って時々乾燥させ、様子を見ながら作っています。
 
-作品のインスピレーションがわくのはどんなときですか?
日常の中のちょっとした変なことや、不思議なことをモチーフに選ぶことが多い気がします。
例えば、私の実家はとても古い家で、壁の木目がとてもすごいのです。眠れないとき、その木目をずっと見ていると、動いているように見えて怖い、と感じ、木目をモチーフにしようと思いました。ぱきっと目にみえるものより、もやがかかったような、薄い、透けて見えるようなものの方が表現したいことに合っていると思っています。
 
-もともと川澄さんは漆芸専攻でしたが、漆芸の作品も発表されていますか?
そうですね。私は家で作品制作をしているのですが、今は子どもが小さく、漆はかぶれてしまう恐れがあるので、家の中でやるのは怖かったので金継ぎくらいしかやっていないです。ただ、少し前に、Art Base Coromoで開催された「春のパン皿祭り」の出展依頼があったときに久しぶりに作りたいと思い、漆で和紙を張った作品を出品しました。
 

 
-次の作品の発表などの予定はありますか?
2023年11月3日から開催される予定の「とよたまちなか芸術祭mix」に参加することになったので、漆の立体作品を作ろうと思っています。
以前、豊田では、友人や先輩、後輩を誘ってグループ展を企画するときくらいしか発表する機会がなかったですが、とよたまちなか芸術祭が開催されるようになって、発表する機会が増えたと感じました。
 
-気さくに、そして優しく質問に答えてくださった川澄さん。とよたまちなか芸術祭での展示が楽しみです。

作家・川澄綾子さん

【豊田のお気に入りの場所】
高橋節郎館にある休憩スペースです。高橋節郎館は学生の頃からよく通っていて、大きなガラスの窓の外にオブジェや木立が風で揺れているのとか、光が差しているのとかをぼーっとそこの椅子で座って眺めるのがとても好きです。

 
取材:植村優子(TAP magazine 編集部)
あいちトリエンナーレのボランティア参加をきっかけに、現代アートの沼にはまりました。
あいちだけでは飽き足らず、全国の芸術祭から、海外の芸術祭まで見に行くようになりました。
全国の芸術祭サポーターと交流する「全国芸術祭サポーターズミーティング」に参加し、アート仲間をますます増やしています。

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