REPORT/COLUMN
REPORT | 豊田市コンサートホールを貸し切ったとしたら…あなたはどんな舞台を創り上げたいですか?とよたフェスティバーレ2023に参加観覧して
Kohomi (TAP magazine 編集部)

リハーサルを終えた歌プロジェクトメンバー
 
10月の初め、私は11月に開催される子どもの権利条約フォーラムに向けてオリジナルソングを作るというプロジェクトの中高生メンバーと共に、フェスティバーレの会場下見ということでコンサートホールの舞台に立った。
話はその数日前、フェスティバーレに出てみないか?という突然のオファーから。
私にとっては名前だけ聞き知っていたイベント。
一方、歌プロジェクトメンバーは、なんだかよく分からないけれど、こんな立派な舞台で歌えるらしい、という受け取りだっただろうか。
集まったメンバーたちは、まだ自分たちの歌は完成していないけれど、合唱曲「Believe」で舞台に立つことを決めた。
 
そして迎えたフェスティバーレ当日の10月27日。
昼過ぎからの出演者会場入り、簡単なリハーサル。まだフェスティバーレの全貌は見えてこない。
17時半開場。と言っても一般に広く告知されたイベントではないため観覧者は主に出演者の関係者。
そしてチケットの代わりとして渡されたのは「今日の主役です☆本人」と書かれたたすき。
 

 
開演-ライアーの演奏と詩の朗読から静かに始まったフェスティバーレ。
合計17の演目は、パイプオルガンの演奏やアコースティックギターの弾き語り、シャンソン、コンテンポラリーダンス、フラダンスの動きの運動フラトレ、ピアノ連弾、うたと舞、音叉と語り、トークセッションと多岐にわたる。
中でも印象的だったのは「おとなの卒業式」。
舞台に座った4人の大人が、それぞれ、自分が卒業したいことを言葉や歌で表現し、卒業証書が手渡され、居合わせた観客がその門出を祝った。
そして、最後の演目「パイプオルガンによる静寂のとき協奏」では、パイプオルガンが実際に演奏されるのではなく、会場内のすべての存在を互いに感じる静寂の時間を共有した。
 

 
フェスティバーレとは一体…
今回 5 回目の開催となるフェスティバーレ。1回目は桜城址公園で行われ、コロナ禍のオンライン開催を経て、昨年初めてコンサートホールが会場となった。
 
「ここで生きることをみんなでよろこぶおまつり」とプログラムに書かれたフェスティバーレ。
私は、歌プロジェクトの付き添いの大人として、彼らが自分らしく舞台で歌い上げるのを見守り、彼らの後ろの席からこのフェスティバーレを観覧した。
飾らず気取らず自分らしく、素直に舞台で表現する人たちの姿に、何度も涙し、心震わせた。
 

フェスティバーレ終了後会場に残っていた出演者たち。この数倍もの人がこの日この舞台で表現した。

 
結局最後まで、フェスティバーレが何なのか分からなかった…と言うか、一言で表現できない色んなエネルギーがぎゅっと詰まったドラマチックな時間だった。
 
歌プロジェクトのメンバーが下見の日、Believe を歌うと決めたことを、主催者の美苗さんは、「こんな大人を、自分たちの未来を信じる歌を選んでくれてありがとう」と語った。
 
「歌詞が好き。前向きで元気をもらえる。」
かつて学校に行っていなかった自分と今の自分は全く違うと話す歌プロジェクトメンバーが選曲した Believe。
「今は未来の自分が信じられる。」
そのように変われたのはすてきな友人と先生との出会いがあったからと教えてくれた。
 
このフェスティバーレというものは、公演日当日で完結するものではなく、その随分前から始まり、様々な登場人物が行き交うなかで脚本が紡がれ、誰にもエンディングが分からない永遠に続くドラマのように思えた。
 
学生ギルドが作った乗り物に乗り、舞台を移動する主催者。あなたは一体何者ですか(笑)?

 
 
※豊田市コンサートホールで何かやってみたいと思い立ったら、施設ホームページ内の「貸館利用のご案内」をご覧ください。

Kohomi (TAP magazine 編集部)

文章で表現したいと思いライター講座を受講。新米TAPライターです。
ハーモニーを奏でる人にあこがれライアー(竪琴)修行中。
新博物館のオープンを心待ちにしながら黒柴との散歩が日課。

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