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REPORT|豊田市の神社を巡るシリーズ#5 松平東照宮~天井画と松平親氏推しの松平郷~
取材:のん(TAP magazine 編集部)

今回は豊田市中心市街地より東に位置する、松平東照宮に行ってきました。

松平東照宮はその名のとおり、松平地区の松平郷にあります。徳川家康の祖先が住んでいた土地ということで、これだけでも『松平』という名前のブランド力を感じます。

豊田市駅からおいでんバスに揺られて約30分。どんどん坂道を上り、最寄りのバス停の松平郷に到着しました。緑の深いのどかな山間地です。

 

 

バス停から案内看板に沿って歩くと5分くらいで大きなしめ縄が張られた立派な鳥居が出てきました。

鳥居の手前を見ると石垣と鯉のいるお堀があり、まるでお城の一部のようです。周りを見てみると全体的に苔むした空間が広がり歴史の重厚さを感じます。

 

 

手水舎の手前にあるご由緒で東照宮について確認します。

もともとは八幡神社ということで武運の神様が祀られた神社です。そして東照宮というだけあってご祭神に徳川家康の名前があります。そしてもう一人、松平親氏(まつだいらちかうじ)とあります。

一般的にそこまで知られている人物ではないので「はて、どちら様?」となりますが、松平親氏こそが松平ブランド発祥の基となった人物で家康の9代前の祖先にあたるそうです。

 

 

まずはお参り。外から見た神社はいたって普通です。東照宮というと日光や久能山を思い浮かべてしまいます。煌びやかで荘厳なイメージでしたが、松平東照宮は特に目立つ装飾もなく普通の神社という印象です。しかし近づいてみると葵の紋章が誇らしげにあちこちにあり、徳川家由来の神社であるのがわかります。

 

 

さて、松平東照宮と言えば何といっても天井画が有名です。

今までプロモーション動画やウェブ、雑誌などで見たことあったのですが、本物を見るのは初めてなのでワクワクします。

天井画を見るためには拝観料200円が必要になりますが、いろいろな割引があります。今回おいでんバスで来たので100円を納めました。

 

 

拝殿の中は少し広い畳の間です。訪れた日の天候は曇りでしたがとても明るく感じました。よく見ると照明が天井に当てられています。そのせいか天井がツヤツヤと輝いているようで、しっかりと植物の絵を見ることができます。

 

 

天井画はすべて植物で108枚の丸い板に描かれています。

ひまわりのように名前も姿も知っているもの。名前は知らないけど見たことあるもの。梅など日本に昔からあるもの。チューリップのように洋風で神社のイメージではないもの。ネギは食物だけど確かに植物だなぁと、少し意外性があるもの、とさまざまな植物があります。

植物名一覧の立て看板もあるので天井と照らし合わせて見るのも楽しいですし、植物の名前も覚えられそうです。

 

 

こちらの天井画は平成27年(2015年)の徳川家康公四百年祭記念大会のメモリアル事業として漆芸家安藤則義さんによって描かれたものです。

漆と言えばお茶碗などの器を思い浮かべることが多いと思いますが、このような絵として見るのはなかなか珍しいのではないでしょうか。

一つ一つの天井画に派手さはあまり感じないですが、108枚揃った天井の迫力はなかなかのものです。首が痛くなるのは覚悟して見ていただきたいです。描かれてから10年程度ですが、もう少し時間がたって下地の木や植物の色が変化してくると違う趣が出てくるのではと感じます。

 

 

スマホで思う存分写真を撮った後、神社を出て木々が手入れされた奥の方へ入って行くと、真っすぐの道の奥に、指を前に指す大きな男性の像が立っていました。ご由緒にあった松平親氏です。

 

 

とても近代的で大きく躍動感のある銅像です。まるで舞台の花道を歩いている「主人公」といった雰囲気を醸し出しています。

松平親氏はもともと流浪の僧でしたが、この地を治めていた松平信重に気に入られて娘婿となり、松平信重の跡を継いだとされています。その後も松平で活躍したということで周りから慕われていたようです。松平東照宮の祭神とされている理由です。

こちらの像は平成5年に作成されたということで、天井画よりも古くからあることになります。松平郷は徳川家康よりも松平親氏推しという感じがします。

 

 

親氏像からさらに奥へ行くと高月院というお寺があります。緩やかな上り坂の道を少し歩きます。こちらも立派な山門があります。

 

 

その他にも歴史散策ができる場所があるため、時間をかけてあちこち歩いてみるのもよいかもしれません。

 

 

松平郷を歩き回って少し疲れたので『お食事処天下茶屋』で休憩とお昼ご飯を頂きました。古民家の雰囲気の中で麦めしとろろとお蕎麦のセットをいただきました!おいしかったです!

 

 

今回、松平東照宮とその周りはとても広くて見るべき場所が多くあります。体力が必要かもしれません(笑)。しかし天井画や親氏像、手入れされた緑や奥に見える自然の山々などと併せて松平郷はとてもフォトジェニックな場所だと感じました。

取材:のん(TAP magazine 編集部)

美術・芸術は詳しくないけど、人が作り上げた『何か』を見るのが好きです。よくまちをウロウロしています。名古屋グランパスと豊田スタジアムを愛するフツーの主婦。フットワークの軽さと重さを兼ね備える極端なタイプ。

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