REPORT/COLUMN
INTERVIEW | 豊田から演劇で心を届ける 演者・黒野さとみさん
黒野さとみ(演者)

前回、インタビューさせていただいた絵本作家・今井宏枝.さんから、豊田市を拠点に活動している黒野さとみさんをご紹介していただきました。こんな風に人から人へのご縁をいただき、つながりながら、さまざまなジャンルで活動されている方々をご紹介していきたいと思います。
 
黒野さとみさんは、「豊田市民創作劇場」への参加や「劇団ドラマスタジオ」での公演など、豊田の演劇界に関わってきました。2020年にはとよた演劇協会が中心となった「とよた劇場元気プロジェクト」で『tow you』、『ワタシたちのものがたり』と2つの演目に出演。コロナ禍で演劇の上演が難しい状態の中、新しい演劇の可能性をみつける挑戦をされました。そのほか近年では、カフェを会場にしたリーディング(朗読劇)に力を注ぎたいと考えていらっしゃいます。今回は、メールでインタビューをさせていただきました。
 
 
ー演劇を始めたきっかけを教えてください。
最初は、小学生の時に読んだ漫画『ガラスの仮面』に影響を受けて、中学で演劇部に入りました。『エースをねらえ』を読んでいたらテニス部だったかも知れません(笑)。社会人になって始めたきっかけは、偶然の出会いで観た地元のアマチュア劇団の『銀河鉄道の夜』です。当時いろいろ思い悩んでいたのですが、心の琴線に触れ、感動しました。心がほんの少し動くだけで凝り固まった頭や体がほぐれ、気持ちが楽になる。活力が湧く。お芝居は人を元気にするとあらためて知り、「自分も向こう側で演じて、誰かの心がそっと動いたなら最高に嬉しい」と思いました。
ちょうどその頃、豊田市で創作劇「Girl meets Girl」のオーディションが開催されるという記事を市の広報で見て、勇気を出して応募しました。そこで作家、演出家の石黒秀和さんや岡田隆弘先生に出会い、お芝居を教えていただきました。その後「市民創作劇場」に数年参加し、2000年に旗揚げした劇団ドラマスタジオへ入団しました。
 

 
ーカフェリーディングを始めようと思ったきっかけを教えてください。
ひとつ目のきっかけは、自宅の庭を横切った一匹のガリガリに痩せた母猫との出会いです。野良の母猫や仔猫たちと関わったことで、自分が猫のことを随分誤解していたんだなと気づきました。そして、猫に優しい環境のために自分にできることを考えるようになりました。「物語の力で猫嫌いの人の誤解を解けたら嬉しい」と思い始めたんです。その時に角田光代著の短編小説『任務18年』という猫目線で綴られた物語に出会い、心が震えました。そこでこのような猫にまつわる物語をリーディングで伝えられたら、と考えるようになりました。
ふたつ目のきっかけは、劇場で行う公演は体力勝負のため、年齢的にも、ライフワークとして続けられる何かを探していたことです。カフェで行えば、リーディングだけでなくお茶や食事と一緒に、もっと気楽に非日常の物語の世界を愉しんでもらえますし、またお客様とカフェとの出逢いの場にもなれば嬉しいなと。。
昨年1月に劇団でカフェリーディングを企画して恋愛物語を演りました。その後、コロナ禍が始まり活動を控えていますが、終息したら始められるよう準備をしています。お勧めの猫にまつわる物語があれば、ぜひ教えていただきたいです。
 

 
ー豊田市を拠点に活動することについて
ここで生まれ育ち、お芝居関係の方ともここで出会えたので豊田市を拠点に活動しています。名古屋や東京へ憧れる役者さんはいますが、私は豊田市民の皆さんに演劇や観劇の楽しさを知ってもらえたら嬉しく思います。豊田市も一昔前は演劇が熱かったと聞いていますので。でも本当は見知らぬ世界へ飛び込むことが億劫なだけなのかも知れません。今後は必要とあればどこへでも出向きたいと思います(笑)。
 
ー活動を継続するにあたっての秘訣はありますか。
熱意を持ってやりつつ、無理をしないこと。自分の熱意が空回りしてるな〜と思ったら、一旦休止して、時が来たら再開すればいいのではないでしょうか。

黒野さとみ(演者)

くろの さとみ
「市民創作劇場」への参加を経て、2000年に旗揚げした劇団ドラマスタジオへ入団。豊田市を拠点に活動している。
 
豊田のお気に入りの場所
「水源公園」
近所にあり、こじんまりした感じも落ち着きます。桜の季節は見事で、他の季節もベンチで川を眺めながら一息ついて、心をリセットできます。

 
取材:植村優子(うえむらゆうこ)
TAP magazine編集部。あいちトリエンナーレのボランティア参加をきっかけに、現代アートの沼にはまりました。あいちだけでは飽き足らず、全国の芸術祭から、海外の芸術祭まで見に行くようになりました。全国の芸術祭サポーターと交流する「全国芸術祭サポーターズミーティング」に参加し、アート仲間をますます増やしています。

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