REPORT/COLUMN
INTERVIEW | リサイクルガラスの魅力を体験を通して伝えていく ガラス作家・岩月直美さん
岩月直美(ガラス作家)

前回のタカギユミコさんからのご紹介で、リレーインタビュー4人目はガラス作家の岩月直美さんです。
岩月さんは豊田市竹町にある「リサイクルガラス工房 cocoro」を2014年にオープン。
廃ビンを再利用したリサイクルガラスを使って、体験講座や吹きガラスを教えています。
今回は岩月さんの工房で、ガラス作家になったきっかけやリサイクルガラスの魅力などを伺いました。
 
 
-岩月さんがガラス作家になったきっかけを教えてください。
私がガラス作家になったきっかけは、母です。専門の学校を出るわけではなく母から全て教えてもらいました。
母は、もともと通っていた岡崎市にある吹きガラス工房が先方の都合で通えなくなってしまったので、「どうしよう…じゃあ自分でやろう!」と自分の工房を開いたんです。
さらにガラスを作る楽しさをみんなに知ってもらいたいと思って教室もはじめました。
私も昔から物作りが好きだったので、仕事を辞めて母のもとに通い始め、習ううちにアシスタントもするようになって。
母は、母でもあり師匠でもあり。
母がガラスをやっていなければ私もやっていなかったと思います。
それからはしばらく母と一緒に工房をやっていたのですが、借りていた工房を返すことになり「またどうしよう…」てなってしまって。
そうしたら嫁ぎ先の義父が畑を使っていいよと言ってくれて、自宅の隣に今の工房を建てることができました。
ガラス工房は溶けたガラスを24時間ずっとキープしなければいけないのですが、自宅の隣なので安心です。
周りの理解と協力があって、今は恵まれた環境で制作できています。
ちなみに母もまだ現役なので大人数の体験や制作で一人では難しいものを作る時には今も手伝ってもらっています。
 

岩月さん

-工房の名前を「cocoro」に決めた理由はなんですか?
ガラスで何を伝えたいか?と思ったときに『心を込めて作る』とか『手に持った人の心があったまったらいいな』とか『心に残る思い出ができたらいいな』とか…思い始めたら「心」という字がいっぱい出てきたんです。
じゃあ「ココロ」にしよう!と思って。
ローマ字で「kokoro」もあるし「cocoro」もあるけれど、「ko」だとKO負けみたいになってしまうので「co」という丸くて可愛いイメージのある「cocoro」にしました。
 
-リサイクルガラスとはどういったものでしょうか?
リサイクルガラスは主に廃ビンを再利用したものです。
家庭で出るジャムとか酢とかインスタントコーヒーの空きビンを砕いて、それを溶かして新しいガラス作品をつくります。
以前はお酒の会社から廃ビンをもらっていたのですが、体験に来た方が「近くだから溜めて持っていくね」と言ってくれてそれがじわじわ地域に広がっていったんです。
なので今はビンには困っていません!笑
廃ビンが新しく蘇るというか、目に見えるリサイクルっていいですよね。
リサイクルガラスの素材としての魅力は、無色透明な色合いではなくてちょっとグリーンがかっているところです。
この昔ながらの懐かしい感じの色合いがあたたかい感じで好きなので、リサイクルガラスにこだわって作っています。
作品づくりには終わりがないですし、私もまだまだ向上しているところなので楽しいです!
 

 
-岩月さんの今後の活動は?
工房の活動だけではなくイベントに出店もしていて、作品を販売しています。
出店していくと自分が知らない分野も知ることができるし、色んな作家さんと新しい繋がりが広がっていくのでそれが本当に財産です。
私の作品を通して、ガラスに興味を持ってもらって、それで体験して「ガラスってこんな風に作るんだ!」と知ってもらって。
体験していただくとガラスを見る目が変わってくるので、ぜひガラスを作る楽しさを知ってもらえたらと思います。
あとはリサイクルガラスの良さを見てもらえたら……欲張りですね。笑
自分で作ったものは特別感があるので、同じお水でも美味しく感じますよ。
 
工房

 
 
岩月さんのガラス作品はリサイクルガラスのあたたかい色味の優しい形でありながらも、どこか芯のある強さを感じました。
今回のインタビューでは、岩月さんが実際に吹きガラスをするとこを見せていただきました。
オレンジ色に溶けたガラスにフッと息を吹き込む瞬間は、まるで新しい生命を生み出すかのよう。
岩月さんの今後の活躍も楽しみにしています!

岩月直美(ガラス作家)

Instagram
 
豊田のお気に入りの場所
足助の古い町並み
毎年2~3月は足助で中馬のお雛さんを開催していて、私も作家の仲間と1店舗借りて約1ヶ月間出店しています。足助は町の雰囲気もいいですし、人の暖かさを感じる場所です。

 
取材:森井早紀(TAP magazine編集部)
アンダーグランドな音楽と美術と映画をこよなく愛すちょっと変わった人。
橋の下世界音楽祭に衝撃を受け、豊田の街に魅力を感じ始める。
自身も作家活動を行なっており、2020年に豊田市美術館ギャラリーで自ら企画したグループ展『HELL THE TRIP』を開催。
豊田の魅力を発信しながら、何やらおもしろいことを企んでいます。

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