現在、香恋の館郷土資料館(豊田市羽布町)で開催されている特別展示「下山村の三河万歳(まんざい)」を見に行きました。
三河万歳は、新年を迎えた家々を万歳師が巡り、新しい年をお祝いする祝福芸のことです。
扇をもった太夫(たゆう)を中央に、小鼓をもった才蔵(さいぞう)がおもしろおかしい仕草で掛け合い、笑いと福を呼び込みます。
地域により諸説あるそうですが、下山では江戸城に参内し披露されたことから『御殿万歳(ごてんまんざい)』と呼ばれているそうです。
下山では昭和初期に、同窓会の出し物でみんなを驚かそうとした若者たちが三河万歳の師匠を羽布町に呼び、泊まり込みで万歳を教わったことが始まりだったそうです。
その後「下山村の三河万歳」は1977年に豊田市の無形民俗文化財に指定されています。
ちなみに『万歳』の読み方は「ばんざい」ではなく「まんざい」。
おめでたい雰囲気が字体からも伝わってきますね。
まず展示会場に入ると、色鮮やかな舞台衣装が目に飛び込んできました。
右のオレンジ色の衣装が太夫、左の衣装は才蔵です。
化粧を施してから衣装を着て、太夫は立鳥帽子(たてえぼし)、才蔵は侍鳥帽子(さむらいえぼし)を被るそうです。
特に才蔵の衣装は、中の襦袢の青が見えるようにあえて袖の通し方を変えていたりと独特です。
そして、その上を見上げると、イラストレーターのなかむらひろこさんの約10mにも及ぶ、三河万歳絵巻が展示されています!
圧巻です!
万歳の掛け合いの詞に乗せて、太夫や才蔵、七福神が愛らしいイラストで描かれています。
読んでいると笑い声が聞こえてくるようで、思わずこちらまでニッコリ。
実はこの日、会場でなかむらさんに三河万歳についてのお話を伺いました。
なかむらさんは解説パネルや絵巻の制作にあたり、下山の方に聞き取り取材を行い、太夫の衣装が時代によって少し変わっていたりなど、改めて知ることも多くあったそうです。
ちなみに香恋の館では、今回の特別展示だけでなく、下山の歴史を紹介するコーナーでもなかむらさんの作品を楽しむことができます。
TAP magazineでもなかむらさんのインタビューがご覧いただけます!↓
【INTERVIEW | 下山の歴史をイラストで伝える イラストレーター・なかむらひろこさん】
会場では三河万歳の紹介映像も流れていました。
「おめでとうー 陰陽~ 鶴は千年~ ヨーハー 亀は~まんね~ん」
あれ?思ったより、ゆっくりの掛け合いなのかな?
と思ったのも束の間、ここから舞が加わり太夫と才蔵のテンポの良い掛け合いが始まります。
太夫「えへへ」
才蔵「おほほ」
太夫「えへ」
才蔵「おほ」
太夫・才蔵「わはははは 笑う~門には~福来たる~」
ちょっと待って。。
おもしろすぎるのですが!!
この時の才蔵の表情や振り付けのおもしろさと言ったら!
「絶対に笑わせるぞ!」という執念が伝わってきます。笑
ちなみに紹介映像はYoutubeでも視聴できます。
《豊田市下山地区の伝統芸能「下山村の三河万歳」》
下山地区には、無形文化が4つあるそうです。
「下山村の三河万歳」「黒坂の祭り囃子(巴太鼓)」「阿蔵地域念仏踊り」「大沼雅楽」
香恋の館では、今後もこの無形文化を取り上げて展示の企画を考えているそうです。
とても楽しみですね!
帰りは、香恋の館から近くの「山遊里」でジェラートを食べました。う~ん、美味!こちらも是非♪
日時:2022年3月24日(木)- 12月頃まで 10:00-17:00 ※定休日:火曜日
場所:香恋の館 郷土資料館(豊田市羽布町鬼ノ平5)