REPORT/COLUMN
INTERVIEW|「自分が動けば、歌うところはどこにでもある。」  声楽家の竹内支保子さんにインタビュー
声楽家・竹内支保子さん

今回のインタビューは『つくラッセル』代表の戸田友介さんと戸田育代さんからご紹介いただき、
旭地区で活動する声楽家の竹内支保子さんにインタビューしました。
竹内さんは自宅や出張でピアノと声楽を教え、旭地区を拠点に演奏会を定期的に行っています。

「田舎でクラシックを聴いて楽しんでもらいたい」と話す竹内さん。

竹内さんはもともと北海道出身。
父親の仕事の都合により、幼少の頃から引っ越しが多かったそうです。
今回は声楽を始めたきっかけや、数々の環境の変化を経験して豊田へ移住するまでのお話、また今後の活動についてのお話を伺いました。

 

ーよろしくお願いします。では、竹内さんが歌うことが好きになったきっかけを教えてください。

小学校1年生の時に、学芸会で「小さい秋みつけた」をほんの4小節だけ一人で歌わせてもらって、
それがすごく気持ち良かったんです。
みんな私を見ている!というドキドキ感とワクワク感。
それが一番最初の経験だったと思います。

小学校5年生の頃に、新宿の児童合唱団に入団しました。
児童合唱団OGで東京の有名な音楽高校の生徒が春休みに来て歌を披露してくれて、その先輩にとても憧れたのを覚えています。

 

ー本格的に声楽の道に進みたいと思ったのはいつ頃からでしょうか?

声楽を習い始めたのは中学2年生頃です。
中学3年の春に新宿から京都に引っ越し、京都の音楽高校を志望しました。
始めはピアノで志望しましたが「ピアノで入ることは難しい」と先生に言われ「もしかしたら歌だったらチャンスを掴めるかもしれない!」と思って、必死に声楽の勉強をして志望校に進むことができました。
本格的に声楽の道に進もうと思ったのはそこからですね。
その後は、高校を卒業して東京藝術大学に進みました。

日本オペラ振興会オペラ歌手育成部 修了公演「花言葉〜ドンナ・ロシータ」(2005年) (上)右から2番目、(下)中央 ドンナ・ロシータ役の竹内さん。

 

小学校の時に憧れていた先輩も同じ大学だったので、入学してから真っ先にその先輩を訪ねました。
大人になってから、児童合唱団の先輩と一緒に同じプロの合唱団で歌うことができたことで、「憧れていた人に追いついた!」という気持ちになりました。

憧れの先輩と竹内さんが所属していた合唱団『東京レディース・シンガーズ』 写真は全国の小中学校を旅公演していた時のもの(2010年)

 

ーでは、豊田に移住するきっかけをおうかがいします。

きっかけは、2011年に起こった東日本大震災でした。
結婚して東日本大震災が起こるまでは茨城に住んでいました。
ちょうど長女が3歳、長男がお腹に宿った頃です。

震災があった時、キーウ(ウクライナの首都)に留学経験のある友人が国外へ避難する直前に、成田空港から「すぐに逃げたほうがいい」と電話をくれ避難を決意しました。

夫の実家(西尾)に一時避難し、その後は京都へ1年間本格的に母子避難しました。
転職活動の後、家族で岡崎市へ住まいを変え新しい生活が始まりました。
その時は知り合いもいなくて、放射能の影響のことなど不安でノイローゼ気味だったので、音楽活動はほとんどできませんでした。

ある時、放射能の勉強会に行き、そこで知り合った方から、『みんなの田んぼ』という足助で開催されるプロジェクトを教えてもらい参加することになりました。
機械を使わず自然農で田んぼをつくるプロジェクトです。
作業をしていて、子供たちが泥だらけで遊んでいても誰も何も言わない。
空気は澄んでいるし、水もとても綺麗。
親も子供も穏やかでいられて「もしかしたら求めていたものはこれなのかも」と思いました。

その後も勉強会に参加し、その中で楽器を演奏する方から声が掛かり、少しずつ音楽活動を再開していきました。

以前は都会にいないと音楽活動ができないと思っていました。
それが震災によって価値観がひっくり返り「自分が動けば、歌うところはどこにでもある」ということに気づいたんです。

 

ーそこから豊田で活動や交流が広がっていったのですね。

戸田友介さんとコイケヤクリエイトの西村新さんから合唱の指導の依頼があり、「山里合唱団こだま」を立ち上げ講師をすることになりました。
その頃はまだ岡崎に住んでいたので、毎週岡崎から旭地区にある福蔵寺に行き合唱を教えていました。
練習するときは、まずみんなでご飯を食べます。
戸田さんがメインディッシュを作り、みんなで一品持ち寄り、それを食べた後に練習を始めます。
始めた当初は発声や体の使い方を伝えてましたが、ご飯を食べて近況を聞くことも大切だなと思うようになり、教え方も少しずつ変わっていきました。
ご飯を食べて練習しなかったことも1、2度ほどありますよ。笑
ここ2年はコロナ禍で練習も発表もなかなかできませんが、それまでは福蔵寺のご縁市や「いなかとまちの文化祭」でこだまの合唱を発表していました。

今は旭に移住し、自宅や出張でピアノと声楽の指導を行っています。
今、教えている生徒の中には、私をSNSで見つけて「声楽を学びたい」と言って通い始めた子もいます。
やる気のある子は伸びるのが早いので、教えがいとやりがいを感じます。

私がこれまで教えてもらったことを、次の世代に伝える。
私の師匠は「恩返しではなく、恩送りをしなさい。私が伝えたことを、あなたが誰かに伝えることが私への恩返しになる。」と言って惜しみなく色々教えてくれました。

今やっと「恩送り」ができるな、と思っています。

 

ー最後に今後の活動を教えてください!

6月26日(日)に豊田市参合館の多目的ルーム(9階)で「第26回 こどもといっしょにMUSIC〜親子で楽しむコンサート」を大学の時の先輩と一緒に開催します。
実は2年前から企画していたのですがコロナの影響で3回中止になって、今回4回目の正直なんです。
子供向けのプログラムで、「花」や「赤とんぼ」など語り継ぎたい曲を歌う予定です。

※イベントの詳細はこちらから。

 

ーありがとうございました。

竹内さんの今までの経験が「自分が動けば、歌うところはどこにでもある」という言葉に込められているように感じました。
「クラシックは敷居が高い」という印象でしたが、竹内さんと話していると「行ってみたい!」という気持ちになりました。
今後の竹内さんの活躍も楽しみにしています!

声楽家・竹内支保子さん

豊田のお気に入りの場所
阿摺川(あずりがわ)
近所にある川です。
地域の人が整備してくれたおかげで、遊びやすい場所になりました。子供たちとよく行きます。

取材:森井早紀(TAP magazine 編集部)
アンダーグランドな音楽と美術と映画をこよなく愛すちょっと変わった人。
橋の下世界音楽祭に衝撃を受け、豊田の街に魅力を感じ始める。
自身も作家活動を行なっており、2020年に豊田市美術館ギャラリーで自ら企画したグループ展『HELL THE TRIP』を開催。
豊田の魅力を発信しながら、何やらおもしろいことを企んでいます。

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