今回のインタビューは絵付作家の田代智裕さんのご紹介で、現代美術作家・デザイナーのもりもとくれよん(森本真由)さんです。
もりもとさんは豊橋市出身、名古屋市在住。
2017年に旧豊田東高校で開催された『On stage! On high school!』から作品制作を開始し、2018年にとよた大衆芸術センター[TPAC(ティーパック)]という、旧旅館で行われたアートイベント『最初の晩餐/The First Supper』で参加型インスタレーション作品を発表。
その後『Check in Counter Culture』『HYBIRID BUNKASAI』『とよたまちなか芸術祭』と豊田での発表の他さまざまな場所で機会を重ね、昨年は作家のさいとうえなさんと共に豊田と蒲郡を会場とした『Unformed room』を開催しました。
また、もりもとさんはデザイナーとしても活躍されており、『とよたまちなか芸術祭mix』のメインビジュアルやとよた市民アートプロジェクトの広報デザインなども手掛けています。
もりもとさんの作品や活動について、お話を伺いました。
ーもりもとさんは2017年からRecasting Club(※豊田市主催の参加型アートプロジェクト)に参加し、多数のアートイベントに参加していますがどのような展示を行ったのでしょうか?
2017年の『On stage! On high school!』では「廃校でハイクオリティな映像を作る!」をテーマに、イベントに来た人にインタビューして映像作品を制作しました。
翌年にTPACで開催された『最初の晩餐/The First Supper』では、旅館の洗面所で「本めくり少女占い」を行いました。
もともと「作品を介して生まれるコミュニケーション」に興味があって。でも作品をただ展示するだけではコミュニケーションは生まれないなと思ったので、まず自分自身が会場に座ることをイメージしました。
次に参加者と会話の種になるものを考えて、当時ハマっていた占いをすることにしました。
参加者には占いの本をパラパラとめくってもらい、「ストップ!」と言ったところで本のページの内容で占うという。
その時はランドセルを背負って、占ってましたね。
2019年に開催した『Check in Counter Culture』では同じ場所で「写叫(しゃきょう)」を展示しました。「自分」という言葉を含んだテキストを鑑賞者にペンでなぞり書きしてもらう作品です。
ーもりもとさんの作品は鑑賞者が参加してこそ完成する作品なんですね。
「社会実験的な作品だね」と周りから言われることもあります。
確かに、どういう現象になるか自分が知りたいから作っているという気持ちもあります。
学生の頃はメディアやコミュニケーションを中心に勉強していたので、論文を書くことの方が多かったです。今でも作品はスケッチするより、考えている過程の方が長いですね。
日常の中にある、気になる現象を探し、「この現象は、この行為と似ているかもしれない」という仮説を立て、その行為を作品にしています。タイトルは、その現象と行為の共通部分を表すような言葉を使って組み立てています。 ただ、いざ展示をしてみると必ずしも仮説とは違った、また別の現象が起こります。 人の手が加わることによって、予期しなかったことが毎回起こるので学びになります。
鑑賞者からは「わからない」と第一声で言われることもありますが、日が経ってみると、私自身も自分の作品がわからなくなる事があります。笑
でもわからないまま気軽に参加して「ちょっとわかったかも?」と思うくらいが良いのかもしれません。
ー今後の予定を教えてください。
今、東京にある美学校(※東京神保町にある私塾。美術や音楽、メディア表現が学べる。)に通っています。
美術を専門的に学んでいないからこそ生まれる視点の強みもあると思うのですが、知らなきゃいけないこともまだまだあるなと思って。
今後は美学校関連の展示を行っていく予定です。
もりもとさんの活動はこちらからチェック!
web : もりもとくれよんdesign
instagram : @ moricrayon___
【豊田のお気に入りスポット】
竹生(たきょう)通り。
ここを歩いていると知り合いに会う確率が高いです。kabo.さんやHUUKUさんによく行きます。
取材:森井早紀(TAP magazine 編集部)
アンダーグランドな音楽と美術と映画をこよなく愛すちょっと変わった人。橋の下世界音楽祭に衝撃を受け、豊田の街に魅力を感じ始める。自身も作家活動を行なっており、2020年に豊田市美術館ギャラリーで自ら企画したグループ展『HELL THE TRIP』を開催。豊田の魅力を発信しながら、何やらおもしろいことを企んでいます。