撮影:山﨑結子
現代美術作家・デザイナーのもりもとくれよん(森本真由)さんからのご紹介で、現代美術作家のさいとうえなさんにインタビューさせていただきました。
森本さんとさいとうさんは二人展『Unformed room』をArt Base Coromoにて2023年に発表した間柄。二人展のきっかけとなったのは豊田で開催されているアートイベント『とよたまちなか芸術祭』でした。
さいとうさんは、今年4月から社会人となり東京に拠点を移されて、会社勤めをしながら作品制作やキュレーションをされています。
今回は、豊田での活動で感じたことや現在の活動についておうかがいしました。
―上京する前は豊田市ではなく、お隣のまちにお住まいだったと伺いました。市外から豊田市の活動に参加するようになったきっかけを教えてください。
活動に参加するようになったのは、大学に『とよたまちなか芸術祭2022』の作品募集のチラシがあって、それを見て作品を応募したのがきっかけです。
でも、とよたまちなか芸術祭の存在はその前年から知っていて。
『あいちトリエンナーレ2019』で印象に残っていた※ホー・ツーニェンの《旅館アポリア》(会場:喜楽亭)が、2021年に再度展示されると聞いて見に行きました。その時の展示が『とよたまちなか芸術祭2021』の一環として実施されていたことで、芸術祭の存在を知りました。
喜楽亭を見た後に芸術祭の会場を回ることはできなかったのですが、来年も開催されるなら、ぜひ作品を出してみたいなと思いました。
※ホー・ツーニェン《旅館アポリア》
2019年に『あいちトリエンナーレ2019』の豊田会場で展示されたシンガポール出身のアーティスト:ホー・ツーニェンによる作品。豊田市美術館でのホー・ツーニェン『百鬼夜行』展に合わせて2021年に『とよたまちなか芸術祭2021』内で再展示が行われた。
―その翌年である2023年にはまちなか芸術祭を作り上げる※TCAPパーティーのサポートスタッフとして参加されていました。TCAPパーティーの活動はいかがでしたか?
TCAPパーティーはすごく楽しかったです。今年は東京に移ったので参加することはできなかったのですが。
2022年は作品を展示しただけで、自分の作品の近くにいらした方に自分の作品を説明するくらいでしたが、2023年では芸術祭の会場にレモネードを提供するレモネードスタンドを設置し、スタッフが交代でスタンドに立ちました。そのことで、より多くの豊田の方とお話しすることができました。
作品の感想や芸術祭の巡り方、会場周辺のお店の情報など、たくさんの方と共有することができました。
※TCAPパーティー
とよたまちなか芸術祭を作り上げている有志が集うグループ。中でもサポートスタッフはディレクターの実務をサポートし、企画や運営に深く携わっている。
―昨年のレモネードスタンドは好評で、今年度も実施されていましたね。
TCAPパーティーでは、「食」がポイントになっていると思います。
TCAPパーティーに参加して初めて行ったイベントが、みんなでおでんを食べることだったのも印象的です。
食べ物や飲み物を囲み、共に時間を過ごすことで、参加者もスタッフも心がほぐれる。心がほぐれると会話が弾み、お互いを知ることができる。
TCAPパーティーは、そういった食をきっかけとした交流や作品の展示を行うことで「場をつくる」ことがテーマとしてあったと思います。私も個人的に現代アートの展覧会を企画したりしていますが、TCAPパーティーの活動とは「場をつくる」という共通点があると思います。実行するまでの準備は毎回とても大変ですが、その分楽しいです。
場ができれば何かが起こる。作品を見ることも大切ですが、それだけではなくアートの場に人が集まることで何かが起こる。予想外のことも起こりますが、それによってアートを通して人の考えがわかるのは貴重な体験だと思います。
―東京に拠点を移されてからの活動はいかがですか?また、これからどのような活動をしていきたいとお考えですか?
私は東日本大震災が起こるまで宮城県石巻市にいたこともあり、今年は11月に石巻市でアーティストユニット・ネウとして展示を行いました。
また、アートコレクティブ・ケルベロスセオリーにも参加していて、最近は主にコラムを書いています。
これからは、せっかく東京にいるので東京でも展示をやってみたいと思っていますし、もちろん豊田で出会った人たちとも一緒にできる機会が作れるといいなと思っています。
豊田のお気に入りの場所
「喜楽亭」
部屋ごとに印象が異なり、それぞれの部屋がそれぞれに魅力的です。
TAP magazine編集部